白金の111面に上方から酸素分子(赤色)が近づく四つの場合(A〜D)について調べた。白金16原子で表面を近似し、上方約7Åの位置に酸素分子を置いた状態の生成熱を基準として、酸素原子間距離並びに白金表面と酸素分子の距離を変えながら生成熱の変化を考察した。
まず予備段階として酸素原子間距離を1.2Åに固定し白金表面上4Åから0.5Å刻みで近づけてみた。その結果(グ
ラフ1)3Åまでは横並びだが、Bの場合だけ3Åを過ぎるとエネルギーが下がって行く事が分かる。その後分子状吸着することが予想される。AとDは酸素の原子間距離が広がって原子状吸着することも予想できる。
次にA、B、Dについて酸素の原子間距離を変えて計算し、酸素分子の近づき方と最終的な吸着状態を調べた。
結果
(A)酸素原子間距離1.2Åで緩やかなエネルギーの坂を上りながら白金表面に1.75Åまで近づく。そこには他の原子間距離の数値も密集しているが、1.8の数値が最も高い。そして2.1、2.4と広がるにつれて数値は低くな
り、白金表面上1.5Å、酸素原子間距離2.1Åで最安定化している。
以上より原子間距離1.2Åで白金表面に分子状吸着し、その後障壁を超えて酸素原子間が2.1Åに広がって原子状吸着すると思われる。分子状吸着から原子状吸着に至る障壁は1.2eVとなる。
(B)酸素分子は白金表面に近づくにつれ安定化し、2Å付近で酸素原子間距離が1.5Åに広がり分子状吸着する。
0.9eVの障壁を超えて酸素原子間がさらに広がり原子状吸着に至る。
(D)酸素原子間距離1.2Åで緩やかなエネルギーの坂を上りながら白金表面に1.75Åまで近づく。2Å付近で酸素原子間距離が1.5Åに広がり分子状吸着する。0.9eVの障壁を超えて酸素原子間がさらに広がり原子状吸着に至
る。
全体のまとめ
白金111面への酸素分子の吸着はBの近づき方が最もエネルギーが低く可能性が高い。酸素原子間が若干広がり
(1.5Å)分子状吸着すると思われる。他の近づき方をした場合でもまず分子状吸着し、その後0.9〜1.2eVの
障壁を超えて原子状吸着に至ると思われる。
2014/11/11
追記
プロトンとの反応を考察するにあたって、白金一層のモデルでは結合の手が余っており正しく解析できないと考えられるので、一層目14原子、二層目9原子の二層にしてBの場合を計算した。(下図)
結果としては1層の時とほぼ同等であった。(下図)
なお、この計算結果は酸素分子が白金表面に分子状吸着した後、解離のエ
ネルギー障壁を超えて原子状吸着することを示しているが、精密な測定結果や第一原理計算の結果とも合致
しており、定性的には正しい結果を与えている。
また、第一原理計算の結果と比較してみると下記のようになる。
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安定構造 |
解離の障壁 |
吸着エネルギー |
第一原理計算 |
Z=1.5 r=2.0 |
1.57eV |
0.43eV |
MOPAC2012 |
Z=1.75 r=2.1 |
0.9eV |
-2.5eV |
Z 白金-酸素間距離
r 酸素原子間距離
2014/12/15
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